価格変動商品は、安く買って高く売るのが王道ではあるが、実際は多くの投資家が高く買って安く売っている。これは別に日本に限った話しではなく、驚異的な高パフォーマンスを続けていた米国株市場の投資家においても同様の傾向が現れている。「なぜその株や投信を買うのか」という根本の問題よりも、目先の価格変動の方が意志決定を支配しているのである。数ある投資対象の中から選択するには、それなりの理由があるはずである。値段が下がったからというだけでは、買う理由にはならない。その背後に現在の価格が真の価値を反映していないという認識があるはずなのである。それは通常は、経済成長であり業績成長である。それが達成されて初めて、売却する理由があるのであり、単に日々の値動きではそれはわからない。わからぬまま売買をして、もうけられるのは一握りの人たちであり、自分もその仲間になれると思うのは大いなる誤りである。長期か短期かというのは、今は隠れている真の価値が顕在化するのには、それなりの時間がかかるはずということを簡略化して表現しているだけで、厳格な縛りではない。(令和4年10月31日)