選択の自由度が増すと、よりよい結果を求めたくなって、不自由だった時は悩まなかったことで悩むようになる。NISAでも、以前は時限立法だったから、投資をするのなら早く利用しなきゃ損みたいな感じで、いろいろと悩んでいる暇はなかった。しかし、期限が無期限となり、いつ始めてもOKとなったら、今度はいつ始めるのがいいんだろうかと悩むことになる。検討することは悪いことではないが、変わらないものは変わらない。たとえば、安定的な資産形成を目指すなら、基本的な考えは一緒で、「成長する可能性の高いものに時間を掛けて投資する」ことである。でも、新制度では売却すれば非課税枠が復活することになった。こうなると、思考が短期的になって、時間を味方につけることを忘れてしまう。いろいろ試すことは決して悪いことではないと思うが、いろいろ試しているうちに何をやっているのか、何をしたいのかわからなくなってしまうようでは、本末転倒である。(令和6年3月26日)