資産運用立国化に向けて、新規参入を進めようという当局の狙いはよくわかるが、もともと顧客のニーズの存在が前提としてあるはずで、私募投信ならともかく、公募の場合資産運用を広く一般投資家が受け入れる環境が必要だろう。おそらく鶏と卵の議論のように見えるかもしれないが、参入者を増やしても資産運用が一般的にはならないというのは、もう数十年前に答えが出ている気がする。日本においては元本保証に強いニーズがある中、「投資は自己責任で」を前面に出してすそ野を広げようというのはもともと難しいのではないか。むしろ、自己責任原則を排除すべきだろう。何事につけても最初が肝心で、元本保証を望む投資家に一定の安心感を担保として与えることが早道ではないのか?これは邪道ではない。金融庁の言う「安定的な資産形成」という言葉には、損をする前提はないはずで、それが分散・長期・積み立てで得られるというのなら、それを実行した投資家には元本保証を認めるべきだろう。そうなれば、運用会社も適当なファンドの組成や運用を行わなくなるはずだし、まともな運用会社だけが生き残れることになるだろう。(令和7年2月28日)