さわぎのあとで

2000万円問題で、得をしたのは誰だろうか?金融庁からすれば、良きにつけ悪しきにつけ、投資の必要性について広く一石を投じることができたことは間違いない。それにたきつけられたかはともかく、投資への関心が広がってきているとの新聞記事も見られた。投資を始めるなら早いほうがいいというのは私も同意するが、ここで集まった投資家に対して業界は正しい対応ができるのだろうか?昔と同じことをしやしないかが心配でならない、金融庁的には、これまで顧客本位の業務運営など業界の基盤整備に意を尽くしてきたのだろうが、まだ受け入れ体制が整っているとは思えない。金融庁自身、行政方針等でグローバル投資を謳いながらも、つみたてNISAの適用ファンドの三割が国内投資ファンドで、そのいずれものパフォーマンスが低迷している現状も、これから20年先への不安が拭えない。改革姿勢は共感するものの、なんとなく中途半端感があるのである。そうはいっても、年金事情など、もはや猶予のない状況なのだろう。となれば、自分のことは自分で守るしかないし、人なり業者を頼る場合には、自分のために本当に尽くしてくれる相手かどうかをよく見極めることである。(令和元年6月28日) 

 

投資アドバイザーの必要性

NISAやイデコのような優遇税制があってもなお投資に踏み切れない理由は、業者に対する信頼感の欠如だと思います。でもその要因はどこにあるかと言えば、日本ではサービスに金を払わないことにあるのではないでしょうか?僕もアメリカに住んでいたときは、チップの上手な払い方に慣れませんでしたが、別に日本において、サービス代はタダになっているわけではなく、「込み」になっているだけです。つまり、チップを払わないでいいから「お得」なわけではないのです。「込み」はいろいろ気を遣わなくていいので便利ではありますが、いくらとられているのかわからないという最大の欠点があります。販売会社の窓口でいろいろ説明を受けられるというのは、当たり前ですがその対価が含まれているのです。となれば、業者にとって都合のいい商品を売りたくなるのは、ある意味当然ではありませんか?その結果、業者は投資者からの信頼をなくすという悪循環です。同じファンドを買うのに、自分で調べて買う人といろいろ教えてもらって買う人が同じコストでいいわけはありません。「サービス代を明確にすること」それが業者の責任感を醸成し、投資者の信頼につながると僕は信じています。(令和元年5月27日)

四の五の言わずにやるしかないのか

いきなりでなんですが、私は今年58才になります。私がこの後70才まで生きている確率はどれくらいあると思いますか?ほぼ90%です。この数字をどう思うかはおいといて、もはや簡単には死ねない時代といえます。女性になれば、この確率はほぼ95%にもなります。生活の仕方は人によって様々でしょうが、生きて行くには何らかのお金が必要なことは紛れもない事実で、人生が伸びている以上、働かなくなった後に収入が大きく減った場合のお金の手当てをしておかなければなりません。全く何の手当をしなくても、現在の保有資産のみでカバーできるならともかく、多くの人はある程度の資産形成をしておくことはもはや必須といえます。国が様々な優遇制度を設けているのもまさにその裏返しでしょう。そう考えると、いやでも投資していくしかありません。ただ、投資は闇雲にやってもいい結果は得られないし、自分に合ったやり方を見つけていくことが重要です。誰かの真似をすることも、必ずしも正しいとはいえません。基本は、成長するものに長期にわたって投資することです。(平成31年4月30日)

ファンドを選ぶことの難しさ

企業型DCにおいては、事業主が加入者を代表して、商品選定に深く関与していくことが必要なわけだが、実際はよくわからないので、結局、関係のある運用管理機関に丸投げしてしまうことが多く見られるのではないか?そして運用管理機関も受託者責任とか言いながらも自分に都合のいいラインナップを提供する。その結果、どうにもならない商品が並ぶ。やってみてだめなものは、他のものを追加するなり、変えなさいと言うけれども、実際そんなに簡単ではない。やっぱりはじめが肝心なのである。今の流れは、加入者が選別しやすくなるように、ファンド数を制限する方向になっているのも、善し悪しではある。事業主に商品の選定責任を負わせることが困難であるのなら、運営管理機関に負わせるしかない。例えば20年かけても元本割れしているような商品を提供したような場合にはペナルティを科すとかそれくらいしないと運営管理機関も真剣にはならないだろう。あるいはつみたてNISAの商品選定基準を少しDC向けにリバイスして適用することも一案ではないか。あともう一つは、DCによって事業主も積み立て責任を免れているのだから、しくみの維持にもう少しお金をかけたらどうですか。(平成31年3月26日)

60歳までにいくらためましょうか

ライフプランや将来設計において、「働かなくなるまでに資産形成をしましょう。そしてその目標は豊かな老後をおくるためには○○万円です。」のような論調はよく目にするが、もうそれは時代遅れである。高齢化が進み、人生百年時代などと言う言葉が平気で使われるような時代に、例えば60歳までに資産形成を終えようなどと言うのは、計算上はできるのかもしれないが、実際上は普通に考えて無理であると思う。つまり60才から100才までの40年間を資産形成の時間に充てないというのは不合理なのである。だから、いつまでにいくらためましょうではなく、資産形成をしながら一方で資産を取り崩していってどこまで生活できるか?そのために働かなくなるまでにはいくらのタネ銭が必要なのか?を考えるべきなのである。実はこういう考え方になれば、意外に必要金額は多くない。勤労世代のうちに、将来のためにあくせくして資産形成するのも悪いとは思わないが、やはりそのときそのときの生活を豊かにすることも重要だろう。まあ僕自身がどちらかというとキリギリスなので、アリさんに反発したいだけなのかもしれないが・・・(平成31年2月28日)

リスク分散は商品ではなく投資手法で

市場が不安定になってくると、リスクの低減に注目が集まる。そういう意味でバランスファンドが話題になってくる傾向は、決して悪いことではないと思うが、最近のバランスファンドの中で、国内債券の組み入れ比率を非常に高くしたり、為替ヘッジを付けて為替リスクを抑制するタイプのファンドがそうした目的に合致しているように言われるのは、少し違うような気がする。確かにリスクの値だけ見れば低くなっているのだろうが、そうしたファンドは、当然のことながら上がるときも上がらない。相場の動向に対して下がる率よりも上がる率の方が高ければまだ許せるが、そうしたファンドは逆の可能性が高い。なぜならコストがかかっている以上そうなるのだ。これだと一回下落するとかなりの期間元には戻らないことが多く、何のために投資しているのかわからない。リスク低減することは決して悪くないが、それはリスクを低減したファンドで行うのではなく、ある程度のリスクを取ったファンドを使って、長期投資や積立投資などを組み合わせることでリスク低減を図るほうが結果として有効だと個人的には感じている。(平成31年1月30日)

長期投資のメリット

長期投資のメリットとしてよく言われるのは複利効果であるが、複利効果は上がってこそあるわけで、そもそも長期に持てばというか、いつかは上がるものに投資してなければ長期に投資しても始まらない。あくまで前提は、右肩上がりになるものに投資することである。それを探すのが難しいと言えば難しいのだが、世界経済の成長がそうなのではないかと私たちは考えている。そしてもう一つの難しさは、たとえいつかは右肩上がりになるとしても、それがいつかはわからないということである。そこで力を発揮するのが長期投資という考え方なのだろうと思う。つまり、上がるまで待つことができる状態に常に置いておくことである。投資で一番つまらないのは、自分が売った後上がることだと思う。いつかは上がると信じているものに投資していて、その考えに変わりはないのなら、いくら下がっても売ってはダメである。ちょうど今、世界の株価はこの数週間で今年の高値から20%下がっているが、別に世界経済に大きな変化が起きているわけでもない。こういう時に狼狽して売るのは、損な行動だと思う。(平成30年12月26日)

クレジットカード決済で思うこと

投資の目的は、収益の獲得であり、具体的には配当金や値上がり益などである。私たちは、投資家の収益の獲得をいかに確実に実現するかに常に焦点を当ててきた。その点においていえば、投資資金をクレジットカードで支払おうが、現金で支払おうが、投資収益に違いはないはずである。一方で、投資に投資収益以外の付加価値を付ける(見つける)ことも決してないわけではなかった。たとえば、好きな会社の株式を買って楽しむというたぐいである。ひろくいえば、株主優待なんかもそのクチといえるかもしれない。極論すれば、投資収益は気にしないというスタンスで臨むことである。正直言って、投資家が勝手にそうするのは全く気にならないが、クレジットカードで購入すればポイントがもらえるというように、それをセールスポイントとして勧誘するのはなんとなく邪道のような気がしてならなかった。しかし、投資手法を限定し、投資対象も限定し、資産形成という目的を明確にしたうえで、ポイントという付加価値を付けるのは必ずしも否定すべきではないのかと感じてもいる。(平成30年11月30日) 

 

初回のNISA非課税期間の満了

早いもので、2014年から始まったNISAの非課税期間の終了が12月末にやってくる。この5年間を見てみれば2014年の初日の終値が日経平均で約16000円、NYダウは約16500ドルだったわけで、非常に良好な投資環境だったと言える。まあほとんどの投資家が収支プラスで非課税期間を終了し、非課税制度の恩恵を受けることができたのではないかと推察するのだが、セミナーなんかで、みんな儲かってよかったねなどと軽く言うと、私は損をしてますという人が何人かいて返答に困るのだが、聞いてみるとそれらの人は大概個別株投資で失敗している人たちである。NISAの開始時にこのコラムでも書いたと思うが、NISAのしくみは個別株投資には向いていない。非課税期間こそ5年だが、投資は一回きりで、やり直しがきかない仕組みだからである。上がる株式を一発で当てられるならともかく、そうでない場合には、非課税の恩恵も、非課税期間のメリットも何も受けられない。つみたてNISAで株式が投資対象から外れたのは、ある意味当たり前のことなのである。このことは投資信託が商品として投資家の信頼を得ていない現状を図らずも表した一面かもしれない。(平成30年10月31日)

ロールオーバーの 決断

そろそろ10月で、来年のNISA枠の選択が迫られる時期となった。加えて、初年度からNISAで投資をしている投資家は5年の非課税期間が終了する時期と重なり、ロールオーバーの検討も行わなければならない。この5年間は投資環境としては良かったはずの期間で、分散投資をしていた投資家であればまず利益の出ている状態だと思う。この場合、非課税限度の120万円にかかわらず、期末時点での全額を次のNISAにそっくり移せるロールオーバーは非課税メリットという点では魅力が大きい。ただ現状の制度面で考えれば、次の5年後のNISA枠はない。つまり、この5年で勝負しなければならない。この5年が過去の5年同様良好な投資環境であれば何の問題もないが、もし元本割れを起こした場合には非常につらい展開となる。個人的には、投資を続けるのなら、課税口座に移して、この5年間の非課税メリットを享受したうえで投資を継続し、来年のNISA枠はつみたてNISAを選択して投資を行う方が将来の憂いを少なくすることができるのではないかと考えている。(平成30年9月28日)

金の斧とFD宣言

金融庁の圧力?で金融機関各社はFD宣言をHP上で公開しているが、彼らがこのFD宣言についてどう考えているかは興味深い。ただの努力目標だとか会社としての心構えみたいなものと考えているのではないだろうか?しかし、それは考えが甘いと思う。私が思うに、FD宣言は、顧客との契約の一種と考えるべきであり、それに違背したことによって、顧客が損害を被れば金融機関は民事責任を負う可能性がある。私がFD宣言作成についての協力を求められたときに、一番リスクだと思ったのは、当たり前ではあるが、これは言いっぱなしでは終われないと感じたことである。この業界はWIN・WINとか、聞こえのいいことを簡単に言ってしまうところがあるが、これはそうはいかないだろうと。いいことを言えば言うほど自分が追い込まれる形になると。ある意味では、自分が確実にできることしか言ってはならないものなのである。ETNの事例はまさにその好事例とも言えるが、こんなに極端な場合ではなくても、金の斧(顧客本位の業務運営)ではない事例は多く存在するのではないか?(平成30年8月31日)

初めからやり直そう

日銀の投資信託に関する統計数字が30兆円も違っていたそうで、「貯蓄から投資へ」は実は全く進んでいなかったということらしい。30万円だって大金なのに、30兆円も間違っていてただごめんなさいで済むとは、ある意味、投信の現状の社会的立場を表しているともいえる。一方で、銀行で投信を買っている投資家の半数が損をしているとの数字も発表された。別に銀行だけでなく、証券だってそんなに変わらないだろうと思うが、一昔前ならともかく、ずいぶんよくなってきたよねと思われていた投信業界において、しかもこの数年の好調な相場環境で半数が損をするってどういうことなのかと思わざるを得ない。実際私がアドバイスしている投信会社の数字はかなり異なる。この会社が別に変ったことをしているわけではない。あたりまえに運用してあたりまえに販売しているだけだ。ということはつまり、いかにあたりまえに販売してない会社が多いかということである。それで投資家に損をさせているということをもっと恥じなければならないはずだが、1社もそういう反応をしていないということは、恥じてないということなのだろうか?(平成30年7月27日)

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