長期に付き合えるファンドの条件
長期投資にふさわしいファンドの条件として、運用哲学や投資手法などとは別に考慮すべき点としては、そのファンドの値動きの特徴がある。たとえば、ブル・ベア型ファンドのように相場の調子のいいときは市場平均を(大きく)上回るが、そうでないときはその逆になるようなファンドの場合、その値動き自体に問題はないのだが(ファンドの目的通りの値動きをしている限り、それ自体に文句は言えない)、そのファンドに投資している投資家の投資行動については考える必要がある。こうしたファンドに投資している投資家は必然的に値動きに応じて売買が多くなる(短期投資になりやすい)。そして資金の流出入の多さはファンドのパフォーマンスにいい影響は与えない。ブル・ベア型や一部のテーマ型ファンドが長期で見ると決してパフォーマンス的に良くならないのは、こうした投資家みずからの投資行動による悪影響の面も大きい。長期で保有すればするほど損をすると言うことにもなりかねないのである。積立NISAの対象ファンドの基準に、資金の流入状況についての条件があるのもこうした点を反映している。(令和4年5月31日)