投信会社が銀行や証券会社などに販売を委託せずに、自分たちで販売を行うのを直接販売(直販)といい、日本でも少ないながらも行われている。私の思う直販の最大のメリットは、自分たちの運用哲学や運用手法は自分たちが一番よくわかっているわけで、それなら他者にまかせずともいいと言うことである。さらに言えば、自分たちが手塩に掛けて育てているファンドを変な販売をするわけがないという思いもある。しかしながら、販売というのは意外にコストや手間のかかる業務で、おそらく単純に収益面だけで見れば、販売委託をした方が経営上は有利だと思う。また、一つに会社の中で異なる機能を持つ二つのセクションを包含することの組織上の困難さもある。それでも直販をやる理由はどこにあるのか?それは、顧客に対して言い訳のできない立場に自分を追い込むことができると言うことである。つまり、顧客本位の業務運営を否応なく迫られると言うことである。そういう意味ではマゾヒスティックではあるが、反面うまくいったときの快感もまたたまらないものだと思うのである。(令和5年5月31日)