親会社は子会社の取締役人事を、違法性が無い限り自由にすることができる。普通の会社間であれば、まあ当然のことと言えば当然で、文句を言う筋合いはない。しかし、子会社が金融機関であればどうであろうか?たとえば子会社が金融商品取引業者であれば、金融庁への登録が必要であり、その際には、登録金融商品取引業務を適正に行うことのできる人員構成が登録要件となっている。ただ、いったん登録してしまえばそこまで厳しくは言われない。だから、たとえ未経験者であっても、親会社の都合で経営者にすることもできる。未経験者だから経営をうまくできないとかは単純には言えないわけで、そこは親会社の「良心」を信じると言うことなのだろう。しかしなんで登録業務なのか、と考えれば、そこには高い公益性の存在があるはずで、親会社の「良心」にもより高度なものが求められるはずである。人間には寿命があるがファンドにはない。ファンドの価値を永遠に保ち続けるために必要なのは、継投をいかに上手にやるか、そしてその方法は、個人の趣味嗜好で決めるのではなく、揺るぎないガバナンスとして確立しておくことが重要だろう。(令和5年6月28日)