公募投資信託のメリットとしてそのしくみの透明性や正確性が挙げられる。しかし、そのメリットを担保するために関係当事者も増え、その分コストもかかる。そういうしくみ自体が、競争力を低下させたり、新規参入を困難にしている面があることも否めない。現状のしくみが、何かが起きたときにどうするか?ではなく、何かが起きないようにすることに主眼が置かれている。だから、コンプライアンスなんかも、少しでも何かが起きないようにするために、無駄なコストや業務負荷を掛けているように見えるのである。一方で規制を緩和すると言うことは、何かが起きやすくなることを覚悟でやるわけで、そのために必要なのは、何かが起きたときの処置をあらかじめ決めておくことである。そしてその処置に対する社会的コンセンサスを作り上げていくことなのである。そのプロセスを省いて、特区などのように例外的処置として認めていくのでは、業界の進歩という面において意味がないのではないかと思う。(令和5年9月29日)